「今日」をちゃんと生きよう-川内有緒さんの3冊-
みなさんには、好きな作家さんはいますか?
私は、川内有緒さんの文章がすごく好きです。
川内さんはアメリカの大学で中南米に関する研究をされた後、コンサル会社・シンクタンクを経て、パリの国連で勤務をされていたという、ユニークな経歴をお持ちのノンフィクション作家さんです。
私は、普段何冊かの本を併読しているのですが、川内さんの文章にはいつもあっという間に引き込まれ、他の本を挟む間もなく一気に読み終わってしまいます。
今日は、おすすめの本を3冊ご紹介します♩
「パリでメシを食う。」
料理人、国連職員、花屋、漫画喫茶のオーナー、写真家…10人の日本人の方がどんな経緯でパリに来て、どんな思いで暮らしているのか、川内さんによるインタビューを元に綴られたエッセイ集です。
印象的だった言葉はこちら。
人生で一番大切なことは、自分の好きだと思うことを守って、追い求めること。好きなもの、そして好きな人も。
やりたいことは、やれる時にやれ、ということだ。それは後生大事にとっておくようなものではない。
この本に登場する方は、どの方も、決してスムーズに成功してこられた訳ではないです。
言葉や常識が違うことの壁だったり、病気や失恋だったり、やりたくない仕事をすることだったり、それらを乗り越え、消化してきているから、上記のような言葉がより響いてくるんだと思いました。
インタビュイーの話をまるで直接聞いているかのような文章で、「おしゃれで華やか」「気取っていて冷たい」そのどちらのイメージでもないパリを感じることもできました。
次パリに行けたら、この本に出てきた日本人のいる場所をたずねてみたいな、と思っています。
「バウルの歌を探しに」
「バウル」とは、インド東部とバングラデシュにまたがるベンガル地方で、様々な宗教の影響を受けつつも、それらには属さず、旅をしながら、歌い、踊ることを修行とする人たち。
この本は、わずかな手がかりを辿り、川内さんがバウルに巡り会うまでの旅の様子が綴られた1冊です。
バウルの話は、いつでも同じところに帰結する。自分のココロを探れと。すべての偏見や束縛から自由であれと。
バウル、という言葉は初めて聞きましたが、旅やバウルの哲学を通して、川内さんが自分の心の中を振り返っていく文章に引き込まれました。
また、余談ですが、この本を読んでいる最中、バングラデシュ人の方と話す機会があり、バウルの歌のことを聞いてみると、すごく嬉しそうに色々と教えてくれました。
本が実際の世界につながった瞬間、何ともいえず楽しい気持ちになりました。
「パリの国連で夢を食う。」
川内さん自身の国連での勤務、パリでの生活の様子が生き生きと綴られている1冊。
アルジェリアではイスラム女性はクリスチャンと結婚できないこと、フランスでの黒人差別の現実、6/21の音楽の日の素晴らしさ…印象的なエピソードがたくさんありました。
国籍を超えて友情を築くことの楽しさ、海外生活で突然ぽっかりと感じる寂しさに共感し、安定した国連の職を離れ、自分らしくいられる選択をされた場面に心うたれました。
そして、あとがきでのこちらの言葉に、力をもらいました。
昨日、今日、明日を生きる中で経験した出会いと別れ、聞いた言葉、見た風景、耳にした歌、手痛い失敗や勘違い、歓喜や挫折のすべては、一見すればバラバラのように見えるかもしれないけれど、「今日」をきちんと生きていれば、いつしか点と点がつながって、未来の岸辺に続く道になる。
今日をちゃんと生きていますか?
何となく時間を過ごしてしまいそうになった時、いつも自分に問いかけたい言葉です。
一一一一一
どの本も、読み終わった後、自分の人生にしっかり向き合おうと思わせてくれます。
気になる1冊があれば、ぜひ読んでみてくださいね!
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