主観を超える試み -ピエト・モンドリアン-
美術館やミュージアムショップで、ほぼ必ずと言っていいほど目にする、ピエト・モンドリアンの絵画。
直線と原色のみの、まるで記号のような表現。
正直に言うと、モンドリアンの絵画には今まであまり興味がなかったのですが、以前こちらのブログで紹介した Read Theory でモンドリアンがそのような表現に至った背景を読み、興味深かったので書き留めておきます。
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モンドリアンは1872年、オランダ生まれ。
第一次世界大戦にショックを受けたモンドリアンは、仲間とともに、「デ・ステイル」という芸術雑誌を創刊し、個人的なものより普遍的なものに重点を置いた表現を目指しました。
モンドリアンは、絵画を見た鑑賞者の間で、絵画から受け取る印象が異なってしまうとしたら、平等な世界など存在しえないと考えました。
そのため、キャンバスを幾何学模様と三原色を用いた抽象表現で満たし、絵画を見た全ての人が全く同じように感じられるようにしました。
(Read Theoryから一部抜粋・和訳)
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記事の中では、”完全な統一性と客観性という概念はファシズムにも通じるものがある”という記載もありましたが、私は、モンドリアンは、鑑賞者の家柄や学歴・経験に左右されず、全ての人が同じように美を楽しめる世界を実現したい、という理想に燃えていたのだと理解しました。
とは言っても、私たちはどんなにシンプルな表現を目にしても、主観的要素を交じえて受け取ってしまいます。
例えば、赤を見て祝い事を連想する人もいれば、血を連想する人もいます。
青を見て悲しみを連想する人もいれば、幸福の象徴として考える人もいます。
表現者と鑑賞者間で起こる化学反応も含めて、アートは面白いと思うのですが、モンドリアンの着目点と、抽象表現をストイックに追求した姿はかっこいいと思いました。
ちなみに、モンドリアンの作品の中で好きなのは、ニューヨークをイメージして描かれた「ブロードウェイ・ブギウギ」。
シンプルな構図の中から、街の賑やかさが伝わってくるようで楽しい気持ちにさせてくれる作品です。
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